2011年11月9日水曜日

「ジャネーの法則」改訂版


時間の心理的長さに関する経験則「ジャネーの法則」は、「生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例する」と定式化された。これだと48歳の自分が感じる時間の長さは、24歳のときの半分ということになる。しかし、ぼくとしては、この計算式は、ある年齢を超えてからの時間の流れの速さについて、見積もりが甘いという気がする。そこでぼくがいつも用いるのは、改訂版「ジャネーの法則」である。それは次のように表される。

生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の自乗に逆比例する。

「年齢の自乗に逆比例する」とは、「年齢の自乗の逆数に比例する」と言い換えてもいい。たとえば、10の自乗の逆数は0.01、20の自乗の逆数は0.0025、40の自乗の逆数は0.000625、のようになる。このとき、改訂版法則によれば、20歳のときの時間の流れ方は10歳のときに比べて4倍、40歳のときの時間の流れ方はやはり10歳のときに比べて16倍のスピードとなる。

つまり、今ぼくが48歳だとした場合、1日が流れる速度は、小学6年の12歳のときの16倍、高校教員をしていた24歳の4倍のスピードになる。ぼくにしてみればこの方が自分の直感には合っている気がする。あなたがもし今35歳だとしよう。大学を22歳で卒業したとする。大学生だったときの1日は今のあなたにとっての1日よりも2.5倍以上の長さがあったのだ。これが改訂版「ジャネーの法則」が示す数値である。もちろん、数値そのものに厳密な意味があるわけではない。電気力も万有引力も距離の自乗に逆比例するが、それら物理的計測数値と同じように心理的時間の長さの数値を絶対化してはならないだろう。

ただ、ぼくは改訂版「ジャネーの法則」(時間の心理的長さは年齢の自乗に逆比例する)をいつも心に留めている。1日の長さはどんどん短くなっていく。1年の長さはどんどん短くなっていく。ならば、自分はどうすればよいのか。今をどう生きればよいのか。問は常に明確である。しかし、いつもながらぼくのダメな点は、問に対する答をついつい保留してしまう点だ。「まあ、何とかなるさ。」とうそぶいて、日々惰眠をむさぼってしまう点だ。

改訂版「ジャネーの法則」によれば、ぼくの今と、30年前、20年前、10年前、10年後とを比べてみると、今は30年前の7.11倍、20年前の2.94倍、10年前の1.60倍のスピードで時間が流れている。10年後は今の1.46倍の速さになる。つまり、「年齢の自乗に逆比例する」という計算式を当てはめた場合、意識される時間の速さの加速度は次第にゆるやかになっていく。ぼくもゆるやかな曲線部分に入ってきた。「あとはまあ大して違わないだろう」などと舌を出すこともできそうだ。しかし、いま若い方々はどうかご注意あれ。ぼくと同じ失敗を重ねることなかれだ。人生における時間の濃度はけっして一定ではない。

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