2011年11月7日月曜日

Addonizio and Laux “The Poet's Companion” (1)


 ぼくは「ポエトリー(poetry)」という集合名詞的な呼び方が好きだ。一篇一篇の作品は「ポエム(a poem)」ということになる。ぼくが書き散らすようなものは「ポエム」とは呼べない。近似しているとしても、それはあくまでも見せかけのことだ。詩に擬した表現を気取っているだけ。つまり、「しもどき」にすぎない。だが、「しもどき」であれ、どこかで「ポエトリー」に通じる(その一部領域をかすめる)部分はあると思っている。

『詩人必携―詩を書く楽しさへの誘い』(Addonizio, Kim and Dorianne Laux. The Poet's Companion: A Guide to the Pleasures of Writing Poetry., W. W. Norton and Company. 1997)をパラパラと読んだ。本書は詩作品の実例を挙げながら、それを著者たちの思考の有効な手掛かりにしながら論が進められていく。

 類書は少なくないが、本書の潔さは、「詩(poetry)」というものをそれほど偉大な芸術だとは見なしていない点である。例えば、「書くことと知ること」と題された節の中に「書くためのアイデア」という箇条書きコーナーがあるのだが、その中に次のようなアドバイスが記されている。

◆毎日、ある一定の規則に従って何を行っているか?、シャワー、ジョギング、料理、そういった詩を書いてみよう。その詩の中では、同じ行為をするにも他の人はやってなさそうな、自分ならでは特別なやり方に目をつけてみよう。
◆好きなことは何か? 嫌いなことは何か? それを2列に分けてリストアップしよう。そして、自分が好きなことと嫌いなことを結びつけた詩を書いてみよう。
◆「私は知らない……」という表現で詩を書き始めてみよう。自分が知らないことがいくつもリストアップされるだろう。そうしたらその中のどれかに焦点を合わせる。

 このような感じで、実に指示が具体的だ。ただそうやって作り上げられる個々の文章が常に「詩(poem)」でありうるかどうか、ぼくには自信がない。ただ、書いた本人がそのつもりなら、その文章は「詩的作品(poetic work)」ではありうるだろう。「詩」なんてものは、その程度の融通の利く自己確信があれば、それでいい。

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